潰瘍性大腸炎とは、大腸にびらんや潰瘍といった炎症生粘膜障害をびまん性に生じる慢性炎症生腸疾患です。大腸の様々な場所がただれてしまい、それがずっと続くために下痢、腹痛、血便などが生じる病気です。発症は20代で多く、男女差はありません。発症する原因や遺伝性は明らかになっていませんが、血縁が近い方で集積する傾向があります。非喫煙者の発症率は2-5倍となっており、喫煙者で少ない傾向となっています(逆にクローン病は喫煙が発症リスクとなっています)。ニコチンパッチが治療法として期待されたこともありましたが、効果がないことが示されています。国の特定疾患に指定されていますが、患者数は増加傾向で14万人を超えています。診断は内視鏡検査でほぼ可能です。生命予後はきちんと治療すれば健常人と変わりませんが、放置しておくと大腸がんが発生したり、治療抵抗性の方は日常生活に支障が出るなど、課題が多い病気です。症状がひどい時には脂肪や繊維性の多いもの、刺激の強い食事は控えて頂きます。 潰瘍性大腸炎は完全に治すという病気ではなく、薬を上手に使い、様々な障害が出ないようにコントロールしていくことが治療の目標となります。 治療法は病変の範囲と、臨床的重症度(身体の具合と血液検査)によって決まります。軽症から中等症の方にはサラゾピリン、ペンタサ、アサコール等の内服や坐薬で対応可能です。これらの薬剤が効かない方や重症例の方にはステロイド薬、免疫抑制剤、CAP療法(血球成分除去療法)があります。最近では生物学的製剤(レミケード、ヒュミラ)という炎症を抑える薬剤が出ています。レミケードは点滴注射で、数週間おき(2週→6週→8週と投与間隔が延長)に行います。ヒュミラは皮下注射2週間おきに用います。生物学的製剤は潰瘍性大腸炎治療に大きな進歩をもたらしましたが、生物学的製剤の長期間使用に伴い、耐性という薬剤が効かなくなることが問題となっています。また、いつまで使用し続けるのかも定まっていません。新しい薬剤が開発中ですので、今後の進歩に期待できます。 潰瘍性大腸炎の大腸粘膜はただれており、そのような粘膜から癌が発生すると言われています。がんの発生率ですが、海外では全患者の3.7%と言われています。ただし、病変の範囲によって発生率は異なります。国内の報告ではがん合併の80%以上は、病変が全大腸に及ぶ方です。病気を患っている期間によっても、がん発生率は異なり、10年間で2%、20年で8%、30年間で18%と言われています。 通常の大腸がんと違い、潰瘍性大腸炎に合併した大腸がんは範囲が不明瞭で、小さくても進行していたり、悪性度が高いことが頻繁にみられます。潰瘍性大腸炎の患者さんは専門医での診察をお勧めします。 薬剤の選択、治療経過については、個別の判断となってきます。お悩みの方は御相談ください。
潰瘍性大腸炎の写真(橋本クリニック様から転載)

潰瘍性大腸炎の写真(橋本クリニック様から転載)

こちらのサイトも参考になるかと思います。大腸炎ドットねっと(http://www.daichoen.net/daichoen/)

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