2007年の厚生労働省の報告によると、患者数は約58000人で、男女比は2対1で男性に多く見られます。 急性膵炎の原因はアルコールと胆石によるものが多く、他に医療処置に伴うものや特発性(原因不明)、慢性膵炎の急性増悪、膵がんなどがあります。男性ではアルコールによるものが多く、女性では胆石によるものが多く見られます。 遺伝子変異(PRSS1,SPINK1など)、免疫能の低下が発症を引き起こすと言われていますが、はっきりとはしていません。また、BMI30以上の肥満は発症率を3倍上昇させ、死亡率を2倍上昇させます。 初発症状としては嘔気・嘔吐、背部痛が多く、食欲不振、発熱、腹部膨満感、下痢などもみられます。腹痛は持続的な鈍い痛みが特徴的です。 急性膵炎の致死率は2・9%となっており、その多くは発症後2週間以内で多臓器不全が原因となっています。発症後期になると感染症による死亡率が上昇してきます。診断、治療法の広まりとともに致死率は改善していますが、急性膵炎の15-20%は重症化し、致死率が3倍ほど上昇します。 治療法としては初期には十分な輸液、後期では感染症対策が主体となります。 胆石が原因であれば、それを取り除く治療も検討します。アルコールが原因であれば、離脱症状の対応が必要なこともあります。重症化した場合には血液浄化療法(イメージとしては透析のような治療です)、動注療法(動脈に直接薬剤を投与する方法です)を行うことがありますが、施設により対応が異なっています。 重症化さえみられなければ予後は比較的良好です。多くの方が発症前と同じ状態にまで回復しますが、後遺症として糖尿病や下痢(膵内外分泌障害)を残したり、急性膵炎を再発することもあります。 早期診断、早期治療を怠ると重症化し、致命に至ります。救急の現場では見逃せない病気となっています。 別表に急性膵炎の診断基準と、重症度判定基準(予後因子造影CT)をつけておきます。 予後因子の合計が2点以下を軽症、3点以上を重症とします。 さらに造影CTgrade 2点以上のみでも重症としています。 予後因子と造影CTgrade両方の基準で重症と診断された場合の致命率は30.8%と高くなっています。 予後因子スコア2点以下では造影CTgradeに関わらず死亡例がないとされています。 予後因子スコア3点以上では造影CT検査を行い、適切な医療機関での治療も考える必要があります。 医療従事者向けの資料となっておりますが、御参考になればと思います。

下図は急性膵炎のCT画像となります。

急性膵炎CT3急性膵炎CT2