髄膜炎 専門外来だけでなく、一般外来を行っていると様々な患者さんをお見かけします。今回は発熱と咳を主訴に受診された高齢の方です。 発熱と咳で受診される方は非常に多いです。大抵は風邪、酷くなると肺炎に至っています。通常、これらの病気は必要に応じて抗生剤等を用いることでに速やかに改善します。 今回のケースは意識状態が低下していました。レントゲンと採血で肺炎と脱水の存在を確認しました。高齢者ということを考えると、脱水に伴う意識障害は説明がつきますが、嘔吐を伴っていました。嘔吐の大半は胃腸の具合が悪いときに起きますが、今回の患者さんは胃腸の具合は問題なさそうでした。嘔吐の他の原因としては脳血管障害(小脳などの脳梗塞等)、頭蓋内疾患(脳腫瘍等による頭蓋内圧亢進)、内分泌疾患(高血糖、ナトリウムやカリウムの異常)、薬剤による副作用、妊娠、精神的なものが浮かんできます。 この中で1番見逃していけないのは脳と頭蓋内の病変だと思います。他の病気は採血やお話を聞けば分かります。 私は頭のCTで腫瘍等の異常がないことを確認して、髄液検査(腰から針を刺して、髄液を採ります。髄液は腰から頭まで流れています。)を行いました。髄液は白く濁っており、細菌性髄膜炎という、髄膜炎の中でも最も厄介なタイプでした。 肺炎、脱水症に細菌性髄膜炎が合併したケースです。集中的に強力な抗生剤を中心に治療を行いますが、転機は厳しく、救命しえたとしても後遺症が残ることがほとんどです。 今回は嘔吐が診断の契機となりましたが、消化器内科医として普段から嘔吐を扱っていた経験から診断へと至りました。残念ですが正しい診断を下したとしても、救命に結びつかない事も多々あります。